自己紹介その5〜決意〜

どうも、motoです。

それでは続きをどうぞ。

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入隊して、9年ほどが経過しました。

当時私は、27歳でした。

精神的に不安定な時期が続き、体調が悪化していました。常に頭がぼーっとしていて、全身がダルい。なんとなく目が乾いたり、動悸や息切れがするのです。

特に、仕事や、嫌なことを考える不安になったり、イライラするようになってきました。当時の私は、健康に関する知識などなかったので、何もわかりませんでした。常に体が重く、何をするにも億劫でした。

朝起きると、気分が重く、仕事のことを考えると動悸が始まります。そして、呼吸が苦しくなるのです。何をどうすればいいのかわからず、ただ一人苦しんでいたことを覚えています。

数年後、整体を学ぶようになり、心と体の関係性について知ることになります。

これは単なる食べ過ぎで、消化不良を起こしボーッとしているだけで、消化にエネルギーを使い過ぎていたのです。お酒と食事の量を減らし、精神的なバランスを取る方法をこの時知っていればこんな症状は起きなかったはずです。

今考えてみると、「健康に関する知識がないだけ」と結論出来ますが、当時は健康や、心理状態に関する知識などなかったのでただ辛かった事を覚えています。この数年後、「知識の重要性」について、深く知ることになるのですが。

とにかく、辞めたい、逃げたい頭の中は、そんなことばかりです。

 いつも、こんな事ばかり考えていました。

『今から辞めて何をすればいい?』『自衛隊しか知らない自分が民間企業で仕事できるのか?』『今さら辞めたいなんて言ったら、みんなからなんて言われるだろう』「どうせ、バカにされるに決まってる」『誰に、なんて、どう相談すればいい?』

こんな思考が四六時中頭の中を駆け巡ります。何をどうしたらいいのかわからず、ただ、途方に暮れていました。

 何か答えが欲しかった私は、休日には本屋に頻繁に通うようになりました。心理学とか、起業とか、カウンセリングとか、哲学など

今まで本を読んだ経験がなかったので、パラパラとめくる程度でしたが何となく自分に合いそうな内容の本をいつも探していました。

『仕事を辞めたいけど、何をすればいいんだろう?』『何か手がかりはないだろうか?』『この言葉にできない不安をどうにかできないだろうか?』

結局何も手がかりは掴めず、悶々とする日々がさらに続きました。

 それから月日が経ち入隊して、10年目になりました。後輩もたくさんできて、仕事もたくさん任されるようになりました。一見、順調のように見えるのですが、やはり、まだ心の中に『掴み所のない違和感』がありました。

いつからか、職場の人と話をしていても、つまらないなと感じるようになりました。

仕事に対する不満や愚痴、昨日の飲み会のバカ話、パチンコの話とか、嫁の愚痴とか、誰かの悪口ばかりが常に聞こえてきます。数年前までは、私もそんな話で盛り上がっていましたが、次第に話すのがうんざりするようになり、だんだん話が噛み合わなくなってきました。このあたりから違和感はさらに拡大していきます。

 

私には、よく通っていた古着屋がありました。仙台では有名なヴィンテージ古着を扱うお店で、服が好きな私は、休日になるとよく通っていました。

そこのオーナーさんは、独特の世界観を持っていました。

見た目はかなりイカツイ強面の人ですが、仲良くなればとても良くしてくれました。その人からは、いろんな話を聞かせて貰いました。

アメリカ買い付け話、ローズボウルでの出来事、ヴィンテージ 古着の着こなし方、古着の魅力、仕入れの話、ブーツやデニムの話、若い頃のヤンチャだった話、開業した頃の苦労話、仕事の楽しさ、古着に対する熱い想い、家族との話、未来の話

その人の話を聞いていると、とても仕事を楽しんでいるのが伝わってきました。

自衛隊には絶対いないであろう独特の人間性、独特の世界観や、考え方。

そして、なにより仕事に対する熱い情熱を持っていました。なにより古着を愛していて、楽しそうにいろんな話をしてくれました。

「ああ、好きな事を仕事にするっていいな」と思うようになりました。その頃からうっすらと「起業という道もあるのか」と考えるようになりました。

そのオーナーさんは、元々ホテルマンとして働いていたそうです。20歳の頃に古着の魅力に取り憑かれ、この業界に飛び込んだと話していました。初めは誰からも理解されずに苦しんだと話していました。

「いまだに家族からは理解されないし、バカにされる事もある。その度に何クソ!って思うけど、逆にそれがモチベーションになってる。好きなことを仕事にするのは辛い事も多いけど、"生きてるって実感できる"のが幸せだね。仕事の事考えるとワクワクすんのさ。」と話します。

仕事のことを考えると、動悸がする私にとっては信じられない事実でした。なにより仕事が楽しいなんて思ったことがなかったし、いつも考えている事といえば職場に対する不満や、将来への不安ばかりでした。

なにから何まで違うオーナーに憧れを抱き、服を買うことの他に、その人と話すためにお店に通っていました。私は当時、とても悩んでいたので、お店の人に話を聞いてもらったり相談に乗ってもらう事もありました。

ある日、こんなことを聞かれました。

店員『ずっと自衛隊を続けるの?』

自分『いや、ちょっと辞めたいと思ってて・・・』

店員『なんで?』

自分『もう、いろんな事が嫌で。何というか組織にしがみついていたくなくて。なんで自衛隊に入ったかって聞かれたら元を辿れば親のススメにただ乗っかっただけで、今まで生きてきて自分がやりたいことをしてきませんでした。だんだん違和感が強くなってきて、もう、ここにいれないと思ってます。」

 その人からすると、ただ何となく聞いただけだったかもしれません。

その瞬間、何故か分からないけど、声が詰まりました。

張り詰めていた何かが緩み、突然涙が止まらなくなりました。必死に押さえ込んでいた感情が抑えられなくなり、口元が震えてきました。店の中で号泣してしまいそうだったので、顔を押さえ、慌てて店を出ました。外に出ても涙が止まらず、自分でもどうしたらいいのか分からなくなっていました。

その後自衛隊を辞めることになるのですが。おそらく、この時がハッキリと辞める決意ができた瞬間だったと思います。

 

つづく